養生訓
2012.01.05
タイムトリップした医師が、現代医学の知識を生かして歴史的事件と関わっていく・・・・・
一昨年に大きな人気を呼んだドラマのプロットです。抗生物質が発見される以前はコレラは大変恐ろし病気であったか。また近代医療の進歩がいかに目覚ましい物であるか、ドラマでは分かりやすく表現されていました。
現代ほど医療が発達していなかった江戸時代、人々の健康への関心は主に病気の予防に目が向けられていました。そしてそうした情報は物語や和歌としった親しみやすい形式で書かれる事が多かった、養生書と呼ばれる書物から得ていました。
養生書の中で今日でも読み継がれているものに、儒学者・貝原益軒が著した『養生訓』があります。この本は健康で人生を長く楽しく生きる事を説き、食生活に関する知恵や適度な運動の重要性など現代でも応用できそうな知識が数多く載せられています。
「珍美の食に対すとも、八九分にてやむべし」ちなみにこれは「腹八分」の語源になっている言葉です。
『養生訓』には健康の知識と人間の生き方が密接な関係をもって書かれています。さまざまな選択肢がある現代において、選択・決定・決断に関する知恵が人生論(訓)として語られる事が多いようですが、近世では健康に生きる知恵が人生訓でした。このことは医療の進歩と変わらぬ健康感を考えさせられます。
田﨑病院発行 「こんにちわ」より